4日間にわたるセミナー動画を編集し、約30分ずつに分けて掲載しています。
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No.1

土居元良先生のガイダンスと、片山先生のイントロダクション。
大学授業には「医療倫理・医療哲学」の講義が欠落している……

No.2

歯とは何なのかを理解すること。
歯科の治療と予防には、自然科学の上に心理学、社会学等を含めた人文科学が必要。


No.3

まず相手を良く観察し、話し合い、理解しあうこと。
歯科の目的は健康! 歯科医は健康のアドバイザーたれ! 予防が第一、患者の暮らしを想いやれ!

No.4

WHO の「健康」の定義から、「健康」の概念を考察する。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being,
and not merely the absence of disease or infirmity. 
健康とは、完全な肉体的、精神的ならびに社会的に良好な存在状態であって、
単に病や弱さの存在しないことではない。

 
この定義を訳した法務大臣官房司法法制調査部編の現行日本法現によりますと、
「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病病弱の存在しないことではない」となっています。

つまりwell-beingを福祉とし、infirmityを病弱と訳しています。
なるほどwell-beingは辞書によりますと、福利、福祉、安寧などとなっていて、文字的には福祉でよいのであります。

しかし、それは社会的ということにはよく通じますが、肉体的福祉、精神的福祉では日本語としてはうまく通用しませんので、well-beingを文字通り良好な存在と訳したのであります。

また、infirmityを病弱と訳していますが、これも辞書の上では、やはり、病弱、衰弱、虚弱、弱点、欠点、病気などの字でありますが、病弱と言えば、病気に罹ってそのため弱ったという意味でありますから、その前にdisease病気という字がありますので、病弱とすれば、同じ病の言葉が重なってくると思います。

従ってinfirmの語原的な意味、つまり固くない、強くないの意味をとって、ここでは弱さと訳したのです。
そのためdiseaseも疾病と言わず病いとし、弱さと同じようなニュアンスの言葉にしました。

なお、このdiseaseとinfirmityと並べたところに、特に私は大きい意味を感じます。
それはdiseaseとは、病気を示し、病気とは一つの生化学的変化の起こった状態が主で、すなわち化学的変化を主とします。
それに対し、infirmityは弱力、つまり、力学的すなわち物理的変化を主として示します。
よってこの二つの言語によって、化学的と物理的な変化の起こっていること、つまり自然科学的なニ大要素に変化の生じていることを、うまく示していると思うのであります。


No.5

歯肉が健康かどうか、経年的にどう変わっていくか …… これまでの成書では見ることが出来ない貴重な資料です。
健康な歯肉と見えるが弱さを持っている症例、典型的な弱さを抱える症例、健康そのものの症例等々。
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P4〜P9

No.6

No.5 の続きの症例です。
数症例における歯肉の推移。その背景には、人間としての「暮らし」があることを忘れてはならない。
プラーク・コントロールさえ良ければ問題は起こらないのか、そこには自然科学を超えた難問がある。


No.7

モチベーションも成功し、歯磨き等も確実に行っている患者が、なぜ再発・再燃するのか?
それに対し、どう対応していくのか・・・
これからの歯科医に何が必要なのか・・・
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P12〜P21 P18〜P21

No.8

プラークだけが病因なのか。患者の「暮らし」に想いを馳せることの重要性を説く。
「患者自身が、肉体的に、精神的にそして社会的に、これで良いと思えば、それで構わないのではないか」
前日のセミナー開始時間の遅れが響いて、イライラしている片山先生の様子が・・・
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P18〜P21 P24〜P25


No.9

ゴールドマン&コーエン「歯周治療学」第5版 病因論を引用し、意見を交えて解説。
非常にわかりにくいと思いますが、基礎的なしかも歴史的にも重要な内容なので、ご静聴下さい。

No.10

歯周病の原因は炎症と異営養症。栄養と営養の違いは?
歯科疾患の主な癒し手は患者自身であり、医療者はお手伝い。
これからは、生活改善指導は医療全般の課題になっていくだろう。
 参照  待合室・指導室 「開業歯科医の想いⅡ」P54〜P56


No.11

教育の基本は話合い、それゆえ教育のための環境の整備は必須である。
そして片山は、診療室における環境をどのように設計し、実践してきたのか。
様々な考えや立場の人達を、それぞれモチベートするための秘策も紹介する生きた教訓が・・・・・・
 参照  待合室・指導室 「開業歯科医の想いⅡ」P54〜P56

No.12

噛むことが出来るようにするのが歯科の使命。
咀嚼することには、どんな意味があるのか。「噛む」と「唾液」の効用について。
そして、プライス著「食生活と身体の退化」をどう読むか。
本論に入ってきました。
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P57〜P58


No.13

Initial preparatin とは、全身の健康回復のための必要な準備処置。
あなたは歯科医であって、歯医者になってはいけない。
これまでに日本では、教育・医療制度において、医科・歯科二元的に発展してきたが、健康を目的とするということでは、一元的に捉えなおさなければならない。
症例を通し、保存か抜歯か? Hopeless の基準をどこに設定するか等を解説する。
Physiotherapy とはプラーク・コントロールだけではない。
 参照 「開業歯科医の想い ー片山恒夫セミナー・スライド写真集ー」P30〜P47

No.14

3日目

社会の変遷に伴って、人間の健康の考え方や生き様も変わっていく。
会話ではなく、Communication の必要性。そのためには人文科学の習得が大切。
Goldman の Initial Preparatin と Physiotherapy のおさらい。


No.15

Goldman の Periodontal therapy から、Emergency care と Documentation の講義。
患者の痛みを取り除くことだけが、Emergency care ではない。来院してきた大きな動機をできるだけ早く見つけなさい。
Documentation とは、患者の今一番重い気がかりは何かを探していくこと、そしてその問題点とヒント。
治療用義歯にどんな工夫をして、患者の先入観を覆したのか。
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P30〜P47

No.16

総義歯を覚悟はしたが、どうしてもしたくない思いが強く、何とか残して欲しいという患者さんに、どのように対処し、どのような歯冠修復、義歯を装着したか。
それらの補綴物に関するきめ細かな配慮を具体的に語る。
 参照 「開業歯科医の想い ー片山恒夫セミナー・スライド写真集ー」P30〜P47


No.17

20年、30年の長い経過の中では、歯が抜けたり、義歯の修理が必要になることもある。そのやり方。

 質疑 

  • セメントの扱い方について
  • 大きなブリッジや、半固定式義歯の咬合様式は犬歯誘導かフルバランスか?
  • 数時間で増殖するプラークに対し、夜間はどう対処するのか?

No.18

連結冠の金属材料、特にミロシルバーの特徴と取り扱いについて。
長い経過の間にトラブルが起きることがあるが・・・
ディストロフィー防止のための処置(リシェーピング、オドントプラスティ)。
カスピッド・ガイダンス?
 参照 「開業歯科医の想いⅡ」P94〜P102


No.19

再発・再燃の症例、感染による抜歯後疼痛、口臭の著しい症例、色素沈着、妊娠性歯肉炎など・・・
多彩な症例を通して、各人各人に対し指導方法をどう行ったかを語る。
すべては、相手の個性を早期に見抜くことから始まる。
 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P60〜P62

No.20

手術の目的は? 治すためか、再発予防か、清掃しやすくするためか? 一般的に言われている手術の適応症に反論!
歯肉組織の回復か再発かは、増殖してきた歯肉の色で見極める。
隣接面歯肉の炎症が治まってくるとできるクレーター状凹み。プラークコントロールしにくいクレーターをどう扱うか。
暫間固定は、いつどのように?


No.21

暫間固定と永久固定、、永久固定設置の条件と目的。
感染セメント質には歯肉の再付着は起こるのか? 感染セメント質を見分ける事が可能なのか?
動揺歯は動揺歯同士で連結するのであって、骨植のよい歯に固定を求めない。
連結永久固定装置は、2/3以上の骨喪失の歯牙が適応である。

トルドーの記念碑
時に癒し しばしば支え つねに慰む
Guerir quélquefois Soulager souvent Consoler toujours

 参照  「開業歯科医の想いⅡ」P76〜P84

No.22

ブラッシングの位置付けとしては、虫歯と歯周病の場合があるので、よくよく理解しておくように。
患者の情報を伝える時は、自分は伝達者だと認識し、権威のある書籍を利用する。
良いと思って取り入れた食生活が口腔内細最近叢を変え、虫歯や歯周病を増やし、全身にも悪影響を及ぼしている。
患者ごとに歯磨きの時間とやり方を変えていくのは必然。


No.23

歯肉炎症の経過によって、合目的に行う。
一次予防・二次予防・三次予防の位置付け。

Kーブラシ(K−0、K−1、K−2、K−3)の使い方
K-0:腫れ上がったところ、ポケットが深い部分に用いる
K-1:K-0と同時に使う(K-0より毛先が長い)
K-2:普通のところ(炎症のないところ)に用いる
K-3:状態の良いところはますます良くするように磨く

No.24

歯科医は社会の中でどう評価されているか、どう思われているか。
そのような社会で、あなたはどんな歯科医になろうとするのか。

生命は短く、学術は永い。好機は過ぎ去りやすく経験は過ち多く、決断は困難である。
医師はみずから自己の務めを果たすだけではなく、患者にも看護者にも、また環境にも協力させる用意がなくてはならない。

害のないことが第一  
Primum non nocere